【 司法書士試験】午前択一基準点から1年で合格圏

令和2年司法書士試験において、令和1年の択一基準点ジャストから1年で合格圏にいった学習内容のまとめ

【令和2年司法書士試験】午前択一基準点から1年で合格圏に到達した「1日たった5時間」の学習内容まとめ

【2020年10月6日時点 自己採点による個人的備忘録】 

 

  • 令和1年 午前25問 午後19問 記述は論外
  • 令和2年 午前30問 午後25問 記述は不20点、商24点(最低でも)

 

 

1 択一対策

択一対策はメインがオートマ過去問による過去問対策で、サポート教材として必出3300を鬼周回。

(1) 過去問

メインはオートマ過去問の周回。

1月から2月で各科目1周、3月に1周、4月に1周、5月から6月で1周、7月から8月で1周、9月に1周 ▶1月から9月の9か月間に合計で各科目6周はしたことになる。

オートマ過去問は合格ゾーンと違って精選型の問題集なので、論点漏れが最後まで心配になったが、解説文の「なお書き」と「掲載条文」まで含めて問題文に紐づけて想起できるレベルまでゴリゴリにやれば、学習論点の幅としては十分な量があった。

1時間で何p解けるのか計測していたが、最初の頃はかなり丁寧にやって1時間で平均30p、最終的には1時間で平均150pだった。1日300p以上するとしんどいので1日の最低ノルマは200pにして、後はやれるだけとした。

【工夫した点】

オートマ過去問の学習にあたり以下の点を工夫した。

  • 間違えた問題は×ではなく日付をかく
    (2月に一度だけ間違えた問題と、6月にもなって間違えた問題では危機感が違う。このほか、2か月おきに毎回間違える問題が分かるなど、弱点を色々な角度から把握できるので、非常に便利だった。)
  • 類似、関連論点は要約文と索引を書き込む。
    問題文や解説文から想起される関連論点など、本番で「どっちだっけ」と迷いそうなものは索引も併せてなるべく書き込んだ。
  • 解説文のうち、引用条文など、そのまま覚えてしまった方が良い知識はマーカーで塗った。塗った箇所だけ高速で見返すことを何回かした。

 

(2) 基本テキスト

基本テキストは総じてそれほど学習が進めなかった。有名どころのオートマシリーズと、補足的にリアリスティックを読んだが、総じて通読したものの、そこから本番まで持って行けたほどの記憶定着が得られたかは謎。

知識定着というよりは、オートマ過去問だけでは理解できなかった論点の解説本として使っていた。

各教材ごとに基本的に1周、苦手論点は+1周ほどしたが、結局本番まで記憶できたのは、後述するまとめエクセルに書き出した論点か、オートマ過去問に書き込んで結果として併せて周回した論点だけのような気もする。

  • 『リアリスティック』
    民法1,2,3 苦手な論点だけ拾い読んで1周
    会社法1,2 苦手な論点だけ拾い読んで1周
  • 『オートマテキスト』
    民法1,2,3 改正民法版を買っていないのでリアリで代用
    不登法1,2 1年目で2周して以来ほぼ読んでいない。
    会社法等1,2 1周真剣に通読して燃え尽きた。組織再編、持分会社、社団財団は+1周
    民訴法等 1周真剣に通読して、オートマ過去問に補足書き込みを終えて終了。
    供託法 読んでない
    憲法 直前期に拾い読み
    刑法 直前期に拾い読み

 

【基本テキスト学習しんどすぎ問題】

基本テキストをどの程度こなすか、このさじ加減にはかなり試行錯誤した。

理論上は基本テキストの書いてあることを全て「覚えられれば」よっぽどの捨て問以外はほぼ確実に取れると思う。令和2年本試験もそうだった。

これは一般的な基本書なら、オートマでもリアリスティックでも、予備校講座のテキストでも、相性に個人差はあっても、論点の網羅性に合否を左右するほどの違いはないと思う。(検証したわけではなく感覚的なもの)

 

もし、基本テキストの内容を全て覚えられるのなら、択一60問以上安定は間違いない。

が、無理、1か月ほど基本テキストメインでやったが、自分にはやる気の持たない続けられない勉強だった。というか、こんなもの続けられる方がレアだと思う。向いてない理論上ベストな勉強より、実績のある向いている学習方法の量と質を向上させる方が良いと割り切った。

 

 


(3) 要約テキスト

基本テキストの学習が「しんどすぎて無理」となったので、急遽生み出した新兵器。

 

  • 『必出3300選』
    民法、不登法(4月購入)、会社法等(4月購入)
    主要科目の3冊を、見開き右のまとめ表だけ10回以上周回した。ベッドには必ず1冊連れていき、眠る前に読んだ2pから3pの内容を頭の中でグルグルさせながら毎晩就寝。

    この3300では、Aランク全部とBランクの8割ほどがフォローできた。メインののオートマ過去問だけでは、体系的な記憶整理が難しかったので、その補助テキストとして使用した。

    内容はかなり要約してあるので、知らない論点をこれで理解するのはキツいが、オートマ過去問をほぼ既知感で回せるようになったあとに、A、Bランク論点の高速周回用として活用すると最短で全論点を回せるので、非常に良かった。

    ただし本当に既習向け、恐らく初学時に読んでいたら心が折れていたと思う。
  • 『オートマプレミア』 
    基本的に各科目1回ずつ。会社法の組織再編、持分会社、社団財団は+2回。直前期に民訴、民執、民保の巻だけは1周した。
    オートマ独学でイチオシの合格体験記で、プレミアを10周~14周して択一60問以上で模試安定、全国6位合格という記事があり。それは納得の素晴らしい教材だが、なにぶん読むだけでものすごく疲弊するので、ほとんど周回できなかった。
    ただし、内容の濃さが尋常ではないので、基本書と違ってたとえ一周だけでもやる価値はあった。特に会社法はプレミア通読でようやく合格レベルの理解ができたと思う。

 

 

(4) 苦手論点まとめ

はじめはポストイットやノートに思いつく度に、なかなか覚えられない論点をまとめていたが、時間節約と一元管理の兼ね合いで、エクセルにまとめることにしたら、あまりの効率に脱帽した。

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このエクセルシートを表示したPCを目の前に置きつつ、過去問学習をすることで、強制的に複数科目の論点を再暗記しつつ、過去問学習をすることができた。

 

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さらにこれをファイリングして当日会場にも持っていき、試験開始前にざっと通し読みで確認した。

 

(5)やろうと思って結局やらなかったもの

  • オートマテキスト(憲法、刑法)の直前期周回
  • オートマ過去問の複数回ミス問題のみの直前期周回
  • オートプレミア 未出判例のみの複数回周回
  • 模試についてくる論点要約ページだけ直前期に読み返す
  • 模試の未出論点肢の復習
  • 予備校の直前期論点予測の復習
  • 民事訴訟法の直前期の全文素読
  • 民法改正箇所だけ確認

憲法だけは、オートマテキストかプレミアの通読さえやっていれば残り2問取れたろうに、そこだけは真剣に後悔している。

 

 

2 記述対策

ひな型集は改訂されなさすぎで株主リストすら載っていないが、総合力で伊藤塾の蛭町書式80が個人的最強。記述解法本は必要だったのか謎、オートマ記述式もリアリスティックもその他もろもろ全然やらなかった。

模試(LEC、伊藤塾、TAC)で9題+出題予測(辰巳、TAC)で7題、合計16題も不登法、商登法ともに、初見問題をガチ解きしたら誰でも解けるようになると言われればそれまでかもしれない。

(1) ひな型学習

  • 蛭町書式80
    30回以上は周回した。そのうち25回以上はオリジナルの読み上げ動画を作成しての、聞き流しを家事やコアリズムの最中に行った。
    また以下のような書式目次一覧を作ってトイレに貼り、ざっと見て思い出せないひな型があればすぐに確認を繰り返した。

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  • ひな型コレクション
    オートマテキストで添付文書まで載っていないものや、オートマ過去問で問題文として載っているが、実際の登記事項等が載っていないマイナーなひな型についても、ひな型コレクションであればたいほとんど載っていたので、辞書的に活用した。
    最終的に令和2年本試には、この本でしか拾えなかった知識は一つも出なかった気がするが、登記申請において体系的に知識を整理するのにはかなり役立った。
    マイナーひな型についてネットで検索するよりは早く確実な知識が得られるので、買っておいて良かった。

 

 

(2) 解法学習

  • 記述模試
    本番の10日前から各予備校の記述模試を毎日2題(不1と商1)解いた。
  • 構成用紙
    構成用紙の大切さに本番3日前に気付いた。(それまでは決まった型は決めてなかった))
    特に不登法の記述では事実関係が複雑な問題でも、見慣れた構成用紙に落とし込むことで、事実関係が整理され、するべき登記とその順序が自然と判断できるようになった。
    このことに本番3日前に気付いたので、慌てて過去5回分の模試記述と過去問5年分の記述の不登法だけ、構成用紙を各20分で作成するトレーニングをした。これで急ごしらえだがどうにか形はできた。
    なお、本番では事実関係がシンプルすぎてすべき登記が明白だと感じ、余裕しゃくしゃくで構成用紙をほとんど書かなかった結果として、見事に枠ズレした。枠ズレに気付いたのは再現答案を帰り道にスマホで書いている途中だから、情報が可視化できていれば恐らく気付けただろうに。
  • 間違い論点まとめの作成
    各予備校の記述模試について、間違えた論点の理由について、まとめシートを作成した。特に、○○銀行の銀行を書き忘れる。や本店移転を住所移転とするといった、単純だが、本番でやらかしたら泣くに泣けないミスを文章化して、意識的に凡ミスを避ける訓練をした。
    このやり方で本番では、根抵当権追加設定前の債務者の住所変更を見逃して登記不要とし、見事に枠ズレした。

(3) 筋トレ

  • 握力は2時間の高速筆記で手が震えるほど疲れを感じないよう意識的に筋トレを行った。模試レベルでは少し疲れる程度になったが、本番では最後の20分で手が震えたので、もう少し持続力を鍛えるべきだった。

 

3 来年に向けて

専業受験のくせに1日5時間だけ勉強、おまけに大ポカしてAランクを午前だけで4問落としてこの点数。

記述にもしっかり2時間使え、枠ズレかましたせいで当落線上にいるものの、この1年で十分に合格圏といえる実力まで到達することができた。

12月24日の発表で残念な結果となったとしても、その敗因と、来年までにやるべき課題は明確なので、当落はあまり気にしていない。(本当はすごく気になる。)

 

(1) 今年の敗因(ギリギリ落ちたとしたら)

全体としてうっかり舐めプミス。あとAランク知識漏れ

せめて憲法は直前期にやろうと思っていたことができていれば取れたので悔やまれる。まさか出ないだろうが出た。()はLECのランク分け

▶午前択一

  • 問2 憲法(B) 直前期にオートマテキストを読んでいれば解けた(記述に時間を割いてしまった)
  • 問3 憲法(B)直前期にオートマテキストを読んでいれば解けた(記述に時間を割いてしまった)
  • 問8 民法(B) 過去問知識ど忘れ(オートマ過去問の習熟不足)
  • 問15 民法(A) 過去問知識ど忘れ
  • 問34 会社法(B) 基本知識ど忘れ

▶午後択一

  • 問1 民訴法(AA) 民訴法素読みを一度でもしていれば取れた。もしくは、裁判所書記官が訴状を直接渡すことができないわけがあるかいと常識論で考えても解けた。(本番怖い)
  • 問5 民訴法(AA)
  • 問7 民執法(A)
  • 問18 不登法(A)
  • 問21 不登法(A)
  • 問23 不登法(A)
  • 問27 不登法(A)
  • 問30 商登法(D)
  • 問33 商登法(D)
  • 問35 商登法(C)

正答率60%以上のAを6問も間違える体たらく、午後択一は知識不足ではなく完全に解き方のミスし自爆した。

過去問肢を優先せず、見たことないけど法律的に判断してこっちやろを基準にした結果、取れたはずの肢でことごとくバツ

特に不登法が模試で9割安定していたせいで油断があった。不登法の全肢において正誤判断できるという驕りがあった。そのくせ取消登記20件超2万を更正登記もそうだと勘違いする体たらく。死因贈与は例外なく1000分の20、遺贈は被相続人なら1000分の4と混同したのも痛い。


午後記述

初めて記述に2時間残せたことで油断してしまったのが最大の敗因。またぱっと見で、不登法の論点も悩むところがなかったのも痛い。

記述は簡単だろうと難しかろうと、いつものやり方で解く、鋼の意志が必要だった。(いつものやり方で)という話は、方々の予備校講師の注意で再三出ていた話だが、分かっているつもりだったが、つもりなだけだった。

所詮お試し受験に過ぎなかった昨年と、合格圏にあった今年では、気を付けるべきところがまるで違った。ここまで本番でしくじるとは想定外だった。

あと2問だけ択一でAランク凡ミスをしないか、不登法の枠ズレさえなければ、そのどちらかで合格圏余裕だったのに、こんな当落線上で3ヶ月も気が気でない思いをすることになろうとは、あと一歩、知識は足りていたのに、本番力が至らなかったことが残念でならない。


(2) 来年本番前に読むもの

親の顔ほど見たAランク論点も、何個かは普通出るのでひっかけを過剰に恐れないでよい。

・検討の順番を遵守する。
 過去問(既出論点)> 絶対に自信のある(判例等を見たことのある)未出論点 >推測できそうな論点の順で検討する。法律的に考えて絶対にこっちだろは最後まで取っておく、実力を過信しない。

・記述は一見簡単と思っても、舐めずにいつものやり方で解く。必要以上に時間をかけない。模試と同じスピードで書く。それまで構成用紙に書かなかったことまで書かない。

・商登法は1時間確保できても、いつもやらない定足数や決議数の計算をしない。ひとまず全部埋め終えるまで安心しない。

・不登法の単純すぎる登記は疑う。例、単純に何のひねりもなく根抵当権の追加設定を書かせるか? 要素の全部一致のために、事前の住所変更が必要とする等、ひっかけを作りやすい論点は想定しておく。

・商登法は逆に、添付文書は多少イレギュラーだが、登記内容は原則どおりが普通に出るので、過度に登記の可否を悩まない。

・記述のひっかけにおいて、自分の中では常識すぎて、逆に怪しく感じるひっかけ論点でも普通に出ることを常に意識しておく。

・勉強すればするほど普通に受ければ受かるレベルになるので、逆に本番の心持ちと解き方が合否を分ける。舐めすぎると普通に落ちるので、適度な緊張が必要。

 

▶各参考書リンク

▶余談

(1) 模試成績推移

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4月4日のLECオープンでは午前22午後24だったが、8月には午前午後ともに30問オーバーを叩き出す結果に。(なお、成績ランクは最後までずっとCだった。9月12日のLECで記述50点で基準点落ちしたのには驚愕した。記述基準点51点てなんや・・・)

直前2日の模試は記述のみ解いた。

(2) 質問先アドレス

free.shoshi@gmail.com

合否発表まで暇なので可能な限り答えます。